こんにちは!
台風の最中ですが、この辺は思ったよりも強風が吹き荒れず、安心しました。
とはいえ被害に遭われた方をニュースで拝見し、改めて自然災害の怖さを感じました。
さて、私は「行政書士」ですが、「○○士」という仕事はいくつもあります。
ドラマでもよくお見掛けする「弁護士」さんや、「税理士」さん、「司法書士」さん、「社会保険労務士」さんなどは、ご存知の方も多いかと思います(他にも「○○士」さんはいくつかあります)。
これらの職業は、法律に基づいた資格試験や登録制度があり、業務の範囲も法律で決められています。(※「○○士」と付く職業の全てが同じ訳ではありませんが。)
行政書士の場合、「行政書士法」という法律とそれに基づく規則があり、業務についても定められています。ざっくりとした内容は以下の通りです。
① 役所に提出する書類を依頼者の代わりに作成・提出する業務
② 権利や義務に関する書類を依頼者の代わりに作成する業務
③ 事実を証明する書類を依頼者の代わりに作成する業務
④ ①~③に関し、相談に応じる業務
⑤ ①~④に附帯し、密接に関係する業務
これらの業務に形式的に該当しそうでも、他の法律で禁止されていれば、業として行うことはできません。以下、個別に見ていきます。
≪ ① 役所に提出する書類を依頼者の代わりに作成・提出する業務 について ≫
①の業務は、許可が必要な業種(例えば一定の規模以上の工事を行う建設業者さんなど)の許可申請をする場合や、許可を得なければ契約を事実上有効にできない場合(例えば農地の売買)の許可申請などがあります。
ここに言う「役所」(行政書士法上は「官公署」という表記になっています。)は広い意味での役所を言い、裁判所や法務局や税務署なども形式的には入りますが、他の法律で禁止されている業務がある点に注意が必要です。
具体例を挙げると、裁判所に提出する書類の作成や登記関係の書類の作成は、弁護士さんや司法書士さんの業務であり、それらの資格がない者が行うことは禁止されているため、行政書士にはできません。(弁護士法第3条第1項・72条、司法書士法第3条・第73条1項本文)。
同様に、税務署への税務申告は税理士さんしかできません(税理士法第2条第1項第2号、第52条)し、労働社会保険諸法令に基づく申請は、社会保険労務士さんしかできません(社会保険労務士法第27条・第2条第1項第1号及び第2号)。
≪ ② 権利や義務に関する書類を依頼者の代わりに作成する業務 について ≫
遺言書の作成や、契約書・それに類する書類(合意書、覚書など)の作成は、権利や義務に関する書類として、②に該当します。
ただし、注意が必要な場合もあります。
例えば、離婚協議書です。
離婚の条件まで合意してある状態で、合意内容を離婚協議書にまとめるのは問題ないと思いますが、離婚は相手方と不仲になっている状態が通常と考えられますので、仲裁的な要素や一方の代理人のような要素が入って来ると、弁護士法第72条に抵触するおそれが出て来ます。したがって、個人的には注意している業務の1つです。
また、内容証明郵便については、何らかの請求をする内容を送って、すんなり相手が応じてくれれば良いですが、もしも反論が返って来た場合は、気を付けなければならないと考えています。
依頼者さんから事情や状況をしっかりとヒアリングすることや、争いになりそうかどうかを見極めるセンサーを働かせることが肝要だと思います。
≪ ③ 事実を証明する書類を依頼者の代わりに作成する業務 について ≫
③の業務は、相続関係説明図や議事録の作成、その他実地調査に基づき許可申請に添付する図面を書くことなどが該当します。
この業務については、他士業の業務を侵害しづらい業務かなとは思っています。
※④についてはそのままなので、割愛します。
≪ ⑤ ①~④の業務に附帯し、密接に関係する業務 について ≫
⑤については、総務省が例を挙げており、高齢者の財産管理業務や成年後見業務がこれに該当すると明示されています。弁護士さんや司法書士さんが元々されていた業務であり、いわゆる共管業務です。他士業の法律に抵触するおそれはあまりないとしても、金銭管理を伴いますので、細かな注意は必要になります。
上に記載したように法律上お受けできない場合もございますが、行政書士が作成できる書類は多岐に渡ります。
「この書類の作成は依頼できるのかな?」と迷われている方は、どうぞお気軽にお尋ねください!
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